この記事ではHACCP(ハサップ)の歴史について解説しています。実はもともと宇宙食の安全確保のためにNASAで生まれたアメリカ生まれの手法であることを知ってましたか?HACCPの新しい一面が見えるかもしれません。

アポロ計画から生まれたHACCP

Apollo 11

アポロ11号 - NASA提供


宇宙において食中り一つとっても大惨事です。しかし1959年当時では、100%に限りなく近い宇宙食の開発には至っていませんでした。しかし宇宙食には当然100%の安全性が必要です。そこでアメリカのNASAと研究者が宇宙食の安全性確保のために開発したのがHACCPです。
そもそもHACCPとは?という方はこちらもご覧ください。

HACCPのアメリカ食品業界への浸透

HACCPの「食品に危害が及ぶ可能性のあるポイントを洗い出し、その重要なポイントを徹底的に管理していくことでリスクを最小化する」という考え方は非常に優れていましたが、NASAはいざ知らず、アメリカの食品業界に直ぐに受け入れられるものではありませんでした。

HACCPが一般の日常食品への衛生管理の方法として提案されたのは、1971年4月の食品保護会議でした。しかし、食品の微生物汚染に対する包括的防御方法の開発について議論されたものの、HACCPの提案は受入れられませんでした。

しかし、1971年夏に、ボンビバン社製のビシソワーズスープ缶詰を原因とするボツリヌス中毒が発生するという凄惨な事件が起きてしまいました。さらに、キャンベル社やバンキャンプ社の缶詰にもボツリヌス菌に関する不適切な管理があったと判明したため、アメリカの缶詰会社全体の衛生管理手法とFDA(アメリカ食品医薬品局)の指導に対するアメリカ国民からの信頼は失われました。

その結果、FDAはピルスベリー社にFDAの検査官16人を派遣し、HACCPの衛生管理手法の訓練を実施しました。その訓練の結果としてFDAは、HACCPを導入することとなったのです。1990年代に入り、食品の安全性確保のため、米国政府はHACCPの義務化の検討を進め、水産食品、ジュース、食肉・食鳥肉の3食品に対しHACCPを義務化しました。

その後、約10年後に、全食品に対して義務化する食品安全強化法が本年成立しました。

世界へのHACCPの広がり

1993年にCodex委員会が「食品衛生の一般原則の付属書:HACCPとその適用のためのガイドライン」を策定し、各国に普及しました。

日本では1995年に厚生労働省の「総合衛生管理製造過程承認制度」が導入されて以後、ISO22000、FSSC22000等が続きました。 そしてついに飲食店への導入も検討されるに至りました。

最後に

HACCPはNASAの宇宙食の安全確保という日常からかなり離れたところから生まれました。しかし現在では、日本の飲食店でもHACCPの導入が義務化されるなどの話があがるほど身近なものとなってきました。今後、あらゆる食に関する分野ではHACCPの導入が進んでいくと思います。そのためHACCPの知識、考え方を学ぶことは必須です。特に世界に輸出することで自社の製品の商圏を広げようと考えている企業の皆様は、各国のHACCP事情についても精通しておく必要があります。HACCPの原則となる考え方は各国基本的には変わりないはずですので、原理原則をまだ理解しきれていないとお考えの方は、まずは理解しようとしていくことをお勧めいたします。

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